THEATRE MOMENTS BLOG

はだしのおじいちゃん

今日の出来事
車で家を出て、目的地へ向かっていた。
ふと歩道をパジャマを着たおじいちゃんが歩いている。
足元を見ると、《はだし》である。
大ちゃんに「この先で車とめるから、おじいちゃん保護して」
と伝え、車を停め、大ちゃんは降りて、おじいちゃんに話しかける。
私は、近くのパーキングに車を停め、おじいちゃんのところへ。
おじいちゃんにお名前を聞いても「わからない」と。
ただ、まっすぐに歩き続ける。はだしで。
信号が赤でも歩き続ける。
大ちゃんは警察へ電話を入れる。
私はおじいちゃんに笑顔で話し続け、どうにかパーキングに停めている車に乗ってもらう。
はだしでこれ以上歩かせるのは危険だと思ったから。
また、薄手のパジャマだったので、寒さも心配した。
でもおじいちゃんは落ち着かず、車から降りて、また道路に向かって歩き出す。
警察が来るのを待っている大ちゃんが道路に出ないようにと話しかける。
私もおじいちゃんに話しかけ、どうにかもう一度、車に乗ってもらう。
私が車に入れていた上履用靴を履いてもらう。
そしてカーテレビをつけ、野球を見せる。
「スポーツはお好きですか?」
「うん」
「大谷翔平は好き?」
「うん」
でも落ち着かず、再び車のドアを開け、外へ。
そして歩き出す。
「おじいちゃん、何か私に話したいことある?」
「・・・」
警察が来る気配はない。
おじいちゃんが道路に出ないように、大ちゃんも話しかける。
車に乗せるのは厳しそうなので、
「じゃあ、向こう側に歩こう!」
と言って、パーキング内を一緒に往復する。
警察へ連絡してから15分以上。
この往復も3往復以上。
そろそろ往復も不安になってきたときに
大ちゃんがおばあさんと話し出す。
奥様でした。
おじいちゃんを探しに来た奥様と出会えた。
奥様は息子さんが車でそこにいるからと呼びに行く。
奥様「また地下鉄へ降りてましたか?」
わたし「いいえ、その前に道路上で保護したので」
奥様と息子さんから丁寧に御礼を言われ、
そして無事におじいちゃんは息子さんの車に乗り、おうちへ。

今、私と大ちゃんは、母の介護をしている。
母は要介護4。
認知症も発症している。
2年ほど前に仕事のため、預けていた施設で転倒し、大腿骨と肩を骨折。
自分では歩けなくなった。
そのため、母は徘徊はできない。

そんなこともきっかけに、応用演劇を使っての認知症の方との交流を学び、
高齢者施設へのワークショップも行うようになった。

昨年、母がさらに腰椎の骨折をし、それまでお世話になっていた老健からも断られてしまった。
その時に新しく施設を探していた時に出会った施設の方からお話を頂き、
《キッズ認知症教室》という事業に関わっている。
こちらは、とても簡単に言うと
「小学生に正しい認知症を知ってもらうために、演劇で認知症を伝える」
というもの。
「人々が正しく認知症を理解してくれたら、もしもパジャマ姿ではだしで歩いている方がいたら、
サポートしてあげられる社会になる。」
という思いから立ち上げられたプロジェクトである。
先日も認知症のお医者様からレクチャーを受けた。

そして今日、まさにパジャマ姿ではだしで歩道を歩いているおじいちゃんを見かけた。

学んでいたからこそ、母が認知症だからこそ、私たちはすぐに行動にうつすことが出来た。
だが、想像以上に難しかった。
当然、話しかけても何もわからない。
そして立ち止まってもくれない。
奥様の「また地下鉄へ降りていきましたか?」
そう、徘徊を行うには、何らかの理由があるらしいのです。
おじいちゃんは昔、いつも地下鉄にのって会社へ行っていたのかもしれない。
その時の記憶で駅へ向かってしまうのかもしれません。
赤信号でも進んでしまう。
警察は15分たっても来ない。
おじいちゃんは進みたい。

ひとりでは無理だと思いました。
2人いたから。そしてご家族と出会えたから、どうにかなった。

これを読んでくださった方、
どうかはだしで歩いている方がいたら、声をかけてあげてください。
否定しないで、その方の不安に寄り添って少しでも安心させてあげてください。
そして周りにいる他の方にも助けを求めてください。
警察に連絡してください。
もしかしたらご家族から連絡が入っているかもしれません。

ご家族の皆さん
すぐに警察に連絡してください。
そしたら、保護した方が警察に連絡したら、すぐに情報が伝わるかもしれません。

下記サイト、少しお役に立つかもしれません。
認知症の徘徊どうすればいい?探索と予防の最新サービスと製品 │ トーテックアメニティ株式会社

お芝居を作る前に、私たちはリアルに体験しました。
そして色々と考えることが出来ました。
お芝居を作る前に、これを伝えることが、すぐに私達にできることだと思い、
皆さんにシェアさせて頂きました。

誰もがなるかもしれない病気です。
助け合える優しい社会になりますように。。。

お読みいただき、ありがとうございました。




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clare

宝塚歌劇団雪組で活躍後、海外の舞台表現に心震え、舞台上で自由でありたい!と必死に真面目から脱皮!日々、演劇のことで頭いっぱい!やっぱり真面目か!真面目に自由を楽しんでます!
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